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ワインを飲みに旅に出よう、世界文化遺産のワイン産地フランス編(3)

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南フランスというと、真っ先にプロヴァンスを思い浮かべる人も多いことでしょう。でもワイン好きならさらに南、地中海沿いに広がる「ラングドック地方」を忘れないでくださいね。

温暖な気候と美しい自然に恵まれたラングドックは、今、ブルゴーニュやボルドーの有名シャトーが新天地として進出する注目のワイン生産地。高品質でありながらコストパフォーマンスに優れ、近年ではパリの星付きレストランでもオンリストされる、「プレミアム・バリューワイン」が続々と生まれています。

また、ラングドックは数々の世界遺産を抱くフランス最大の観光地。特に夏から秋は地中海の豊かな陽光を求めてワイン好きの観光客でにぎわいます。今回はワイン愛好家なら一度は旅してみたいラングドックの魅力、そして日本でも楽しめるお勧めワインをご紹介しましょう。

有機栽培はフランス最大、スパークリング~甘口までバラエティ豊か

まず、ラングドック地方はどこにあるのでしょうか?

ラングドックは、プロヴァンス地方の南、モンペリエからスペイン国境近くの地中海沿岸とその内陸に広がる地域。フランス最大のワイン産地で、葡萄栽培面積は22万4,000㏊。これはボルドーの約3倍、フランスでは約30%を占める広大さです。現在36ものAOCと19のIGTがあり、スパークリング、赤、白、ロゼ、天然甘口ワインと、実に多彩なワインが造られています。

ラングドックは「太陽と風と土」の恩恵を受けた地といわれます。日照量が豊かで、葡萄栽培に最適なシストや石灰岩土壌。さらに地中海から大西洋を吹き抜ける風の通り道となるため、葡萄の病害が少なく、無農薬の有機栽培の生産者数は1,600にものぼります。その数はフランス国内の35%を占め、健康な葡萄が育ち自然農法に適する地としても近年注目されています。

牡蠣やジビエなど南仏の郷土料理を楽しむ美食の宝庫

さらにラングドックは美食の宝庫。ワインと楽しめる食材のすべてがあるといっても過言でないほど。天然の洞窟でじっくり熟成されたロックフォールのブルーチーズ、フォアグラやトリュフ、秋にはヤマウズラや鹿や鴨などのジビエ、白いんげんとソーセージを煮込んだカスレが。夏にはトマトと地野菜を煮込んだラタトゥーユ、さらに牡蠣やシャコやエビなどの海の幸にも恵まれ、滋味あふれる郷土料理が多彩なワインと楽しめます。

また、ラングドックは観光地としても魅力の地域。特に世界遺産に認定されるカルカッソンヌ城とミディ運河にはぜひ訪れてみましょう。いすれもこの地域のワイン産業発展に大きく関わった歴史があります。

フランスで人気第2位の世界遺産「カルカッソンヌ城」の周囲には広大な葡萄畑

カルカッソンヌ城はラングドックの西にあり、中世の絵巻物を見るような荘厳な佇まい。ヨーロッパ最大の城塞都市で、13世紀にルイ9世の命で2重構造の堅牢な城塞が作られたことから、一度も戦火にさらされることなく、アラゴン王国との戦いや百年戦争にも耐えた歴史があります。

その名前は、カール大帝が城の攻略を諦めて退散するとき、女領主カルカスが勝利の鐘を鳴らしたことに由来。フランス国内ではモン・サン・ミッシェルについで年間200万人が訪れる人気の観光地で、「カルカッソンヌを見ずして死ぬな」といわれています。

城の周囲ではローマ時代から葡萄栽培が行われ、中世には王侯貴族が愛飲するために、またこの地域で布教活動を行ってきたカトリックのカタリ派によってワイン造りが盛んに行われてきました。ワイン生産の歴史は脈々と受け継がれ、今でも城の周囲には広大な葡萄畑とワイン産地が広がっています。

カリニャン、シラー、グルナッシュ、ムールヴェードルなど南仏固有の黒葡萄をブレンドした、フィトー、フォジェール、ミネルヴォア、サンシニアンなどの芳醇な赤ワイン。ロックフォールチーズによく合うミュスカの甘口。地中海の魚介類と楽しむリムーの白やクレマンなど。

近年では、醸造技術の進歩と情熱ある若い造り手の参画から、傑出したグラン・ヴァンを生むワイン産地としても注目され、ボルドーのように階層化された「格付けワイン」も生まれています。

私財を投げ打って開通しワイン産業を発展させた世界遺産「ミディ運河」

さらにもうひとつ、ラングドックが誇るユネスコ世界文化遺産が「ミディ運河」。この運河は地中海からオード川をさかのぼり、カルカッソンヌを通ってガロンヌ川と結びつきボルドーにたどり着く全長360kmの大運河。17世紀に、地中海から大西洋へ物資を輸送するために17世紀末に構築されました。

その当時、地中海から大西洋側に物資を運ぶには、イベリア半島を大きくぐるりと回る以外に航路がなく、スペインにジブラルタル海峡の高い通行税を支払わなければなりませんでした。しかし運河開通によって、ボルドーやイギリスなど太平洋側への物資輸送の長い時間と通行税が削減され、さらにラングドックの内陸部から地中海側へのワイン輸送も容易になりました。

こうしたことにより南仏ワインの出荷量は飛躍的に伸び、ワイン産業発展に大きな影響を与えました。ミディ運河を構想したのは、ラングドック州の塩税徴収人として財を成したピエール・ポール・リケ。彼は娘の持参金も費やして私財を投げ打ち、並々ならぬ情熱で約10年かけて運河建設に尽力しました。

運河やお城の周囲にはカフェやワインショップ、ワインツーリズムも催行

広大なカルカッソンヌ城内はひとつの街でもあり、レストラン、ホテル、カフェ、チョコやチーズやワインのショップもいっぱい。美しい城内を眺めながら観光とグルメを一日中楽しめます。またカルカッソンヌの町からは、自転車や船でミディ運河やワイナリーを巡るワインツーリズムも催行しています。

運河沿いのカフェでは、水辺の美しい景色を眺めながら、観光客がのどかにワインを楽しむ姿も。中でもオンブの町には、ミネルヴォワのAOCワインを200種集めたワインショップ「ラ・メゾン・ド・ヴァン・デュ・ミネルヴォワLA MAISON DES VIN DU MINERVOIS」があり、ここではたくさんのワインが試飲でき、ワイナリー直売価格で販売しています。

日本で楽しむおすすめラングドックワイン

現在、ラングドックワイン委員会では、2,000円から4,000円以下で楽しめる「プレミアム・バリューワイン」を日本に積極的に紹介しています。

「アピシウス」の情野博之氏を始めとするソムリエやワインジャーナリストがブラインドで約50種の秀逸なワインを厳選。スパークリング、ロゼ、白、軽やかな赤、濃厚な赤、甘口デザートワインと、全てのワインが生産されているので、ラングドックワインをテーマとしたワイン会やホームパーティなどを開催しても楽しいですね。中でも個性豊かなお勧めのワインをご紹介してみましょう。

スパークリング
ドメーヌ・ジ・ロレンス クレマン・ド・リムー ル・クロ・デ・ドモワゼル2015
リムーAOC

13世紀に世界で初めて発泡性ワインが造られた地としても有名なリムー。ドメーヌ・ジ・ロレンスはシャンパーニュの造り手であるミッシェル・ドゥヴァン氏が、リムーのテロワールにほれ込んで立ち上げたワイナリー。一番搾りのキュヴェのみを使い、品種、区画ごと発酵する丁寧な造り。白い花とエキゾチックなフルーツの香り、繊細でクリーミィな泡立ちは、まさにシャンパーニュの技術とリムーのテロワールの結晶。

白(ドライ)
ドメーヌ・マス・サン・ローラン2015 ピクプール・ド・ピネAOC

ラングドックの固有品種ピクプール・ド・ピネ100%。この葡萄品種はフランス語で「舌を強く刺す」を意味する通り、非常に酸が豊かで生き生きとした白ワインを生みます。ナポレオン3世が愛したワインでも知られ、当時パリで大流行しました。マス・サンローランは1800年代から続く歴史あるドメーヌ。しっかりと葡萄を完熟させることでフレッシュな酸に凝縮感と深みを与えています。タルタルソースをたっぷり添えたエビフライなどに。

ロゼ(ドライ)
シャトー・ダングレス・クラシック・ロゼ2016 ラ・クラープAOC

シャトー・ラフィット・ロートシルトで8年間醸造長を務めたエリック・ファーブル氏が、長年の夢であった自身のワインを造るべく、2002年に設立したワイナリー。彼がラングドックで選んだ新天地はラ・クラープ。目の前に地中海が広がる美しい国立公園にある今注目の生産地です。減農薬栽培の葡萄から造るロゼは、フラミンゴ・ピンクの美しい色調、白い花や赤いフルーツの香り、ドライでフレッシュですが、表現力豊かでとても伸びやかです。

赤(ミディアム・ボディ)
ドメーヌ・アンヌ・グロ・エ・ジャン・ポール・トロ2014 ミネルヴォワAOC

ブルゴーニュのアンヌ・グロとジャン・ポール・トロ夫妻が一目ぼれした新天地、ミネルヴォアのカゼル村で造る、カリニャン、シラー、グルナッシュのブレンド。ブルゴーニュのグラン・ヴァンかと思うほどの気品に溢れています。粘土石灰質土壌由来の美しい酸とミネラル感、樹齢100年以上の古木由来の複雑さと凝縮感、驚くほどシルキーなタンニン。牛肉の赤ワイン煮、鴨のコンフィ、カスレなどに。

赤(フルボディ)
マス・オリヴィエ・フォジェール・パフューム・ド・シスト・ルージュ フォジェールAOC

フォジェールは、フレンチ・ニューワールドともいわれ、近年目覚ましい発展を遂げるアペラシオン。生産者に助成金を出して環境保全や有機栽培を積極的に推し進めています。中でもマス・オリヴィエはワイン名でもあるシスト土壌と、昼夜の寒暖の差によって、葡萄は濃厚な果実味とフレッシュな酸を兼ね備える素晴らしいワインを生産しています。シラー80、グルナッシュ20%。濃淳でありながら緻密なタンニンを備え、タイムの花のような香り高いワインです。

〈関連〉ワインを飲みに出かけよう、世界文化遺産のワイン産地フランス編(1)
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