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40もの多彩な品種、比類なき特異なテロワール〜押さえておくべきワシントンワインを徹底レポート〜

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独特の気候とテロワールを活かし、次々にワールドクラスのワインを生み出すアメリカ・ワシントン州。ワイン&スピリッツ誌の「世界の偉大なヴィンヤード10」にも選ばれるなど、日本でも大注目のワイン産地です。毎年3月と4月に、オレゴンのワイン産地と協力して、日本全国の300以上のレストランやワインショップでその魅力を積極的にアピールするプロモーションも行われています。

今回はワイン愛好家ならぜひ押さえておきたい、ワシントンワインについて現地に赴いた情報も交えてお伝えしてみましょう。

シアトルから車で3時間、ワインツーリズムも楽しい観光地の顔も

すでにその実力は世界に知られるワシントンワインですが、一方で、具体的にどこで生産されるの? 生産地にはどうやって行くの? カリフォルニアとはどう違う? 得意な葡萄品種は?などと疑問を抱く方もまだまだ多いことでしょう。

日本の国土の約半分も有するワシントン州。アメリカ北西部にあるワイン産地に行くには、まずは州都シアトルへ。日本から直行便で約9時間。シアトルはスターバックス発祥の地で、マリナーズの本拠地としても知られ、今年春からはイチローが再びチームに戻ったことでも話題になりましたね。

ワインの主要産地へは、このシアトルから車で約3時間。標高3,000mのカスケード山脈を越えた、広大なコロンビア盆地一帯にあります。ドライブの途中には伝説のドラマ『ツインピークス』で有名となった“スノーコルミの滝”があり、2016年に復活したドラマの影響で今も年間140万人が訪れる観光地。滝の横にはドラマに登場した高級ホテル「Salish Lodge & SPA」があり、全米トップ10に選ばれた豪華朝食コースも楽しめます。

さらに観光と言えば、ワシントンではワインツーリズムにも力を入れています。ワイナリー見学や試飲に加え、併設のレストランで地元農家の野菜やハーブを盛り込んだサラダやピッツァ、滋味あふれる肉料理、コロンビア川名産のサーモン、洗練されたフレンチやイタリアンなどを楽しめる所も。複数の地元ワイナリーが集まってワインショップやカフェや試飲ルームを設けるワイン村のような場所もあります。

全米第2位の生産量、ボルドーのエレガンスとカリフォルニアの果実味を合わせもつ?

では、ここからはワシントンワインを徹底解説…。

ワシントンでは1825年に初めてワイン用の葡萄が植えられ、1910年から入植してきたフランス、ドイツ、イタリアの移民によって広められました。現在ワイナリーは850軒。栽培面積は約20,000㏊。カリフォルニアに次いで、全米第2位の生産量を誇ります。

ワイン評論家によると、「ワシントンは、カリフォルニアワインのような充実した果実味と、ボルドーのグラン・ヴァンのようなエレガンスを兼ね備えている」といわれます。しかし実は、カリフォルニアともボルドーとも、気候・風土・土壌は大きく異なり、この産地ならでは比類なき個性を備えています。

カスケード山脈がもたらす凝縮した果実味と豊かな酸

コロンビア・ヴァレー、ヤキマ・ヴァレー、ワラワラ・ヴァレー、レッドマウンテンなど13のAVA(生産地区)は、多くはカスケード山脈東側に集中。そして、このカスケード山脈がワシントンワインに大きな特徴と恩恵をもたらしているのです。標高3,000m、南北に200kmも続く山脈は、太平洋からもたらす雨雲をストップさせ、雨が少ない乾燥した気候によって凝縮した葡萄を生みます。

また葡萄生育期の夏の昼間は、気温が40℃近くにもなりますが、夜間には山脈から吹く涼風により10℃以下に急降下。日中の豊かな陽光は葡萄を美しく完熟させ、夜間の涼しさは葡萄の酸度をしっかりと維持させます。こうした、世界でもまれに見る極端な気候が、芳醇な果実味と豊かで美しい酸を兼ね備えた葡萄を結実させます。

さらに葡萄の生育に重要な日照時間は、カリフォルニアより一日平均で2時間長い17.4時間。夏は豊かな陽光を享受する一方で、秋はカリフォルニアより涼しいため、葡萄はゆっくり成熟。ワインはしっかりとしたストラクチュアと複雑さを備えた味わいとなります。

40種もの品種の玉手箱、ピノ・ノワール以外は全て成功

そして栽培する葡萄品種にも大きな特徴が。現地の生産者に「ワシントンが得意とする葡萄品種はなに?」と尋ねたら、「ピノ・ノワール以外は全部!」と答えが返されたように、40種類以上もの葡萄から個性豊かなワインが生まれています。(ちなみに、隣接するオレゴン州は寒流の影響を受ける海岸沿いの冷涼な気候と粘土石灰質の土壌によって、栽培面積の60%がピノ・ノワールです)

ワシントン州は、はるか昔の氷河期に幾度も起こったミズーラ湖の決壊で、豊富なミネラルを含む沖積土が70mも堆積しました。さらにカスケード山脈の隆起、氷河が削ったコロンビア川の深い渓谷により、玄武岩、砂利質、石灰岩など多彩な土壌が存在。そのため、多くの葡萄品種が栽培でき、栽培面積1位のカベルネ・ソーヴィニヨン、2位のメルロ、8位のカベルネ・フランなどのボルドー系品種。5位のシラーや10位のヴィオニエなどのローヌ系品種。さらに、リースリング、ピノ・グリ、ソーヴィニヨン・ブラン、シャルドネ、ゲヴュルツ・トラミネール、シュナンブランなど、多彩な品種が栽培される世界にも珍しいワイン産地です。

価格以上に質の高いヴァリューなワイン、生産者も個性豊か

さらに生産者の多くが次のことを訴えています。

ワシントン州のワインで特筆すべきことは、“価格以上に質の高いヴァリューなワインを生む生産地であること”。それはカリフォルニアよりも土地が安いことが理由なだけではありません。こうした特異なテロワールによって、白も赤ワインも、多彩ないずれの品種も非常にレヴェルが高く、すべてが見事に成功している。そして100年足らずの短い歴史の中で急速に成長し、まだまだ伸びしろの多いワイン産地なのです。

チャレンジ精神、パイオニア精神にあふれた生産者が多いことでも魅力あるワシントン。近年では、他業種から転職してワイナリーを起こす若手生産者、豊かな自然を生かしてビオディナミに励む生産者、またイタリア、ドイツ、フランスの有名ワイナリーの参入、カリフォルニアやヨーロッパから移住した醸造家が新たにワイナリーを興すなど、生産者も自由闊達で個性豊かなことも魅力です。

ラベルも美しくユニーク、魅力あるおすすめの生産者

最後にワシントンを代表する才能あふれる生産者とそのワインをご紹介しましょう。味わいの素晴らしさとともに、自由でユニークな精神がラベルにも現れているのも魅力です。

優れたバランスとクオリティの高さ、そしてフードフレンドリーのワインを、ぜひお楽しみくださいね。

ヘスティア・セラーズ

醸造家のシャノン・ジョーンズは、ワイン造りを切望し、30代でコンピューター関係の仕事から転職。カリフォルニア大学のデイヴィス校で醸造学を修め、スノーコルミ・リヴァー・ヴァレーに念願のワイナリーを設立。

「ヘスティアとは、ギリシア神話の家と家族の守護神で健康の女神のこと。その名のようにワシントンワインのテロワールを豊かに表現し、長寿で健全で、バランスに優れながら深みがあって繊細なワイン造りを目指しています」と伝えます。

ワシントン州でもっとも評価の高い、Ciel du Cheval Vineyardのシラー。ワラワラ・ヴァレーで標高が一番高く、葡萄がゆっくり成熟するブルーマウンテンからの、とても優雅で傑出したカベルネ・フラン。さらにヤキマ・ヴァレーのブーシェイ・ヴィンヤードの樹齢40年のシュナンブラン、ミネラル豊かなリースリングも秀逸です。

パシフィック・リム

カリフォルニアのボニー・ドゥーンのオーナーであるランダル・グラハムが「アメリカで最高のリースリングを造りたいと」と、2006年にコロンビア・ヴァレーに設立。スパークリングからデザートワインまで多彩なリースリングワインをリリースしています。

チーフワインメーカーのニコラ・キエは、リヨン生まれでブルゴーニュで働いていましたが、ワシントンのリースリングの魅力にはまり定住。ワインの実力に加え、ラベルもこの上なく美しいですね。

ユーフローリア

「パシフィック・リム」を持つVin Motion Winesの新ブランド。複数品種ワインの方が単一品種ワインより複雑な味わいを持つとの哲学をもちます。そのため、代表ワインの「アロマティック・ブレンド」はリースリング、ミュスカ、ゲヴュルツ・トラミネール、ピノ・グリをブレンド。アーティストのフローラバウリーがデザインした、香りの花束ともいえる美しいラベルは、ユーフローリアのワイン哲学をみごとに反映しています。

まさに多彩な葡萄品種を生むワシントンならではの、深みと複雑性、そして冷涼な美しい酸を表現したワイン。映画『ラ・ラ・ランド』にも登場して話題を呼びました。

チャールズ・スミス・ワインズ

設立者のチャールズ・スミスは、19年前にロック・クループのマネージャーから醸造家に転身。シラーの名手として世界に一躍その名を知らしめた、ワシントンを代表する醸造家。

シャブリのようなキレを備え、ラベルに描いたリンゴの花のような芳香のシャルドネ。さらにヴィンテージ2015のブーン・ブーン・シラーについては、「確かにこれまでで最高。複雑さ、タンニンは何物にも劣っていない。ブラックベリー、白胡椒、風味豊かなハーブ、乾いた花崗岩。もっと何か言うことがあるかって?ないと思う。とにかく飲んでね!」エンターテイナーで鬼才なチャールズのワインに脱帽。

(一部写真提供:ワシントンワイン協会)

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