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大統領が愛した晩餐会のシャンパーニュ&スパークリングワイン

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美しい泡立ちが心を躍らせ、華やかな時間を紡いでくれるシャンパーニュ&スパークリングワイン。

過去には様々な大統領に愛され、公式晩餐会のスタートを彩るお酒として、外交の場でも大切な役割を担ってきました。

今回のコラムは、アメリカとフランスの歴代大統領に愛されたシャンパーニュ&スパークリングワインと、それにまつわる素敵なお話をご紹介してみましょう。

アメリカ大統領が愛した晩餐会のシャンパーニュ&スパークリングワイン

5代に渡りアメリカ大統領に仕えた「IRON HORSEアイアンホース」

2017年はアメリカの大統領選が大きな注目を集め、新政権トランプ大統領の政治手腕が毎日のように問われていますね。

過去連続5代の大統領政権から指名を受け、ホワイトハウス御用達として愛されてきたのが、カリフォルニア・ソノマの「アイアンホース・ヴィンヤーズ」のスパークリングワイン。

1976年にオードリー&バリー・スターリング夫妻によって設立され、シャルドネとピノ・ノワールのスティルワインの生産からスタートしましたが、1980年にスパークリングをリリース。すると、冷涼なソノマならではの美しい酸とピュアな果実味によって、瞬く間に人気となり高い評価を獲得しました。

冷戦を終結させた歴史的首脳会談で 平和への門出を願い

このアイアンホースのスパークリングワインを、公式晩餐会で最初に採用したのがレーガン大統領。1988年、ロシアとアメリカの冷戦を終結させた、ゴルバチョフ大統領との歴史的首脳会談で「アイアンホース・ルシアン・キュヴェ」がサーブされたのです。

ピュアで美しい果実味と白い花の香り、クリーミィな泡立ちと豊潤な風味は、まさに両国の雪解けと平和を願う門出にふさわしい味わいでした。この時、両国の大統領は「お互いに軍事的優位を競うのはもうやめよう。核戦争に勝者はいない」と宣言。やがて米ソは史上初の核削減条約の締結にたどり着きました。

ミレニアムを祝う公式晩餐会で オバマ大統領はエリザベス女王の返礼に

アイアンホースはその後も、歴代の大統領によって大切な場面で採用され、政治の舞台を彩ってきました。

クリントン大統領はエリチィン大統領との首脳会談で。ブッシュ大統領は英国のブレア首相との晩餐会で。また1999年の大晦日には、ミレニアムを祝うホワイトハウス公式の公式晩餐会にも採用されたのです。

さらに、オバマ大統領はロンドン訪問時に、エリザベス女王からの晩餐会の返礼として催された夕食会で、アイアンホースを披露しています。

ブッシュ大統領がウエディング・キュヴェを饗した理由は?

さて、アイアンホース・ヴィンヤーズでは「ウエディング・キュヴェ」というロマンティックな名前のロゼ・スパークリングもリリースしています。

ラズベリーやピンク・グレープフルーツを思わせる爽やかな芳香とエレガントで気品ある味わい。ウォール・ストリート・ジャーナルは、アメリカのスパークリングで“最高の味“と評価しています。

2005年にブッシュ大統領は、ウエディング・キュヴェの名前にふさわしく、新婚のチャールズ皇太子とカミラ夫人の訪米時に乾杯のワインとして採用。その粋な心遣いに、夫妻は大変喜んだと伝えられています。

フランス大統領が愛した晩餐会のシャンパーニュ&スパークリングワイン

シャンパーニュの生産国であるフランス。だからこそ、歴代フランス大統領がどのようなシャンパーニュを愛し、晩餐会で饗してきたかはとても気になるところ。

晩餐会の裏事情と、フランス大統領が愛したメゾンをご紹介してみましょう。各大統領とシャンパーニュの個性が、ピタッとリンクしているのも興味深いですね。

晩餐会が行われるエリゼ宮には数多のシャンパーニュが

来賓を招いた公式晩餐会が行われるのは、パリのフランス大統領官邸エリゼ宮。そこにはワインカーヴがあり、歴代の大統領が好んだ銘柄や、お抱えのソムリエによって収集された高級ワインが保存されています。

ちなみにフランスの評価ワイン誌La RVFによると、その数は約20,000本、シャンパーニュだけでも50以上のメゾンを所蔵。新興シャトーも多く集められ、緊縮財政の近年でもワインにかける予算は年間250,000ユーロに上るそうです。

最上級の国賓はクリュッグ それに次ぐのはドン・ペリニヨン

エリゼ宮で行われる晩餐会では、もてなす来賓のレベルに応じてワインを用意するといわれます。通常シャンパーニュに関しては、最上級の国賓は「クリュッグ」。それに次ぐのは「ドン・ペリニヨン」。

この2つは極めて重要度の高い賓客に限られ、ちなみに1994年の昭和天皇訪問時にはクリュッグが饗されました。その一方で、過去には歴代大統領が、自分が愛するシャンパーニュの銘柄を公言し、自ら晩餐会に採用した歴史もあります。

シラク大統領 専用機に積み込んだクリスチャン・セネ

第22代ジャック・シラク大統領は、愛犬に”スモウ”と名づけるほど相撲好き。趣味も土偶や根付け等の日本美術の収集という親日家です。ちょっとオタクな彼が愛したシャンパーニュは「クリスチャン・セネ」。

玄人好みの実力派シャンパーニュです。外遊の際には、専用機に積み込んで出かけ、パリのエリゼ宮だけでなく東京のフランス大使館で催された晩餐会でも採用したといわれます。

高潔に生きたド・ゴール大統領が愛したのはドラピエ

パリの空港名にも冠されるフランス第18代シャルル・ド・ゴール大統領。彼が愛したのは「ドラピエ」でした。ドラピエは、シャンパーニュ地方最南端のコート・デ・バールで1808年から家族経営を続けるメゾン。

この地区特有の凝縮した粘土石灰質土壌で育つピノ・ノワールが主体で、男性的な骨格とドサージュを抑えたドライな味わいが特徴で、20年前から無農薬の有機栽培を行う自然派シャンパーニュの代表格です。

元陸軍軍人のド・ゴール大統領は、第2次世界大戦でフランスが陥落した後も、祖国奪還のためにレジスタンスと共に大戦を戦い抜き、ノルマンディー上陸作戦を成功させました。そして戦後、大統領に就任すると混乱に陥るフランスを見事に復興させたのです。

彼は、当時それほど高価ではなく、葡萄本来の旨みを実直に伝えるドラピエを晩餐会にも採用しました。国民のために簡素な生活を続け、派手な社交を嫌い、高潔に生きたド・ゴール大統領らしい選択です。

ミッテラン大統領はクリスタルがお好き!?

一方で、第21代フランソワ・ミッテラン大統領が好んだシャンパーニュは、ルイ・ロデレールのプレスティージュ・シャンパーニュ「クリスタル」。ロシア皇帝アレクサンドル2世の要望で特別に誕生したシャンパーニュで、皇帝の名声を象徴するようなクリスタル製の瓶に入れられています。味わいは華やかでリッチ、当然ながらお値段も高価です。

しかしミッテラン大統領は、当時失業率の高かったフランスで「クリスタル好き」を公言することをはばかり、晩餐会では幾度か「知名度・味わい・コストパフォーマンスの高さ」と3拍子揃ったテタンジェ・ブリュット・レゼルヴを採用しています。

大統領就任直後の記者会見では、隠し子と愛人問題について言及されたミッテラン大統領。その時「Et Alors? (それが、何か?)」と言い放ち、その存在を堂々と公言しましたが、自分が最も好むシャンパーニュの銘柄はどうやらシークレットだったよう。後に映画『大統領の料理人』では、彼が美味しそうにクリスタルを愛飲する様子がさりげなく映されています。

 

ライター&ワインエキスパート。ワイン、映画、食、旅を中心に執筆。ワインと食の情報誌「ヴィノテーク」、北海道新聞、岐阜新聞などの取材記者としても活躍。世界の銘醸地や映画の舞台を訪ねた連載コラムに、フジサンケイビジネスアイ「世界銘酒紀行」「名画の舞台」のほか「男と女 名画とお酒」「シネマの名言」などがある。

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